2015年 08月 28日

第4回 微熱の窓辺

第4回 「微熱の窓辺」をお届けします。

オンザロードで締切ということも多く、
テルホの一室で「微熱の世界」原稿を書くことも多いです。
ライブも打ち上げも終わり、
シャワーをがっと浴びまして
缶ハイボールなどを片手にその日心に残ったことを綴ったりもします。
”股旅日記”と名付けております。
不思議ですね。
自宅で書く時とテルホの一室とではなんだか気持ちが違うものです。
親しい友人に手紙でも書いている気分になります。

本日は今年、6/5に配信しました「微熱の毎日」コーナーより、股旅日記を。
100% UNPLUGGED MUSIC京都から西へ西へ向かう頃のものです。


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5/23 岐阜京都リトルインディア

今日は京都公演。
午前11時。
私は岐阜県可児市にいます。
言っとくけど泊っていない。
早朝東京を出ました。
すごいよね、東京の人が京都へ行く途中に岐阜に寄るって感覚。
我々のフットワークの軽さをなめんなよ。

昨年からもう何度ここでお世話になったか。
あれは今年4月のこと。
渋谷date.公演の準備中
砂田君がモニターとして借りているヤイリのギターを、なんと私が倒してしまった。
ごめんよー!と叫びながらすぐさま抱き起こした時は無傷のように見えたのだが、
数週間後、ネックにくっきりと深い傷が現れたそうだ。
と言うわけで、工房送りだったギターの修理がギリギリ間に合ったので
引き取り&調整のためヤイリ工房へ寄ったのです。

到着するなり
ヤイリギター アーティスト担当O氏に、平に、平に、ひらーに謝った。
前回の修理依頼は昨年秋のこと。
砂田君のギブソンのヘッドが折れたため。
やはり倒して折ったのであった。
半年で二回!
こいつらなんぼほど倒すのか!とO氏は絶対に思っている。
子供か!と柔和な笑顔の下でツッコんでいるに違いない。
砂田君も修理、さぞかし言い出しにくかっただろうなー。てへ。
滞在時間30分。

ヤイリ工房の人々は「え!今から京都?岐阜羽島に車置いて新幹線で行けば!?」
急に焦る。
コンビニ飯をくわえながら京都へ急ぐ。


京都は島原。
午後二時に到着。入り時間の30分前である。
ね、誰もやらないからわからないだけで、京都へ行くのに岐阜へ寄り道できるんですよ。
やらないからね、できると知らないだけで。

会場であるきんせ旅館。
何度も言うが
きんせは幕末から明治、大正と修復改修し続け、
今も生きる超ヴィンテージ空間だ。
一歩中へ入ると
明るい外とは異空間。
しっとりと涼しく、びっくりするほど暗い。

しばらくすると暗さに目が慣れてくる。
昔の建具、食器、着物、家具、なにもかも。
室内の暗さの中に置くと、その色や形の理由がわかる。
夜になって灯りをともせばまた更に「理由」が立ち上がってくるのだろう。
陰影礼賛~~。
夜のライブもやってみたいな、って言ってる場合か。
開場まで1時間しかない。
慌しく生音レイアウトに整えながらオーナーA氏とそんな話。

本番。
天井にアールがついていて、うまいこと音がまわる。
ほとんどが木でできた部屋は
響き過ぎずデッド過ぎず、まるでギターのボディーの中で歌っているようだ。
ここは音の面で
今までの会場中、ナンバー1。

時は幕末。
長州志士や新撰組が集い、飲み、企み、時に暴れた花街、島原。
久坂玄瑞は歌が上手だったそうだ。
http://www.jpreki.com/kusaka/
終演後、夕方の島原で耳を澄ませば久坂君の歌が聴こえるような気がした。

撤収後、砂田君プロデュースのインド料理店チャンダーにて
グルメサイト取材の撮影があるとのことで、
自動的にインド打ち上げ。
疲れた身体にスパイスが染み渡る。
今日はさすがに疲れた。
みんなと別れた後、缶チューハイ一本ぶんの河原町散歩。
シャワー浴びて爆睡。


5/24 えぇ加減なやつじゃけん

広島。
暑い。むっとする。
今日の会場は薬研堀の雑居ビルの地下、こじんまりとしたバーBONOBO。
この界隈は
完全なる飲み屋街、風俗街であって
東京で言うなら歌舞伎町。
完全生音のライブでは一番ディープで一番ダーティーな場所です。

BONOBOの店長バッキーさんは広島で活躍するパーソナリティーであり
私の地元岩国の出身。
ラジオの番組にお邪魔したのがキッカケで知り合った。

もっと若かった頃、私は故郷に対して距離を取りたかった。
私という人間の背景や歴史やしがらみを切りはなした、
超フラットな「私」を聴いてほしいという気持ちが強かったのだ。
そんなこと考えるなんて馬鹿げている。
でも本気で思っていたんだよねぇ。不思議。
その気持ちから開放された後は
ずいぶんと楽になって、故郷に対する気持ちも変化した。
故郷で歌う気持ちも変わった。

本番、
砂田君のギタレレを借りて広島弁の歌を弾き語りした。
「唇をかみしめて」
歌っているだけで泣きそうになる。
方言ってずるいね。(→微熱の欠片コーナーへ)

カープ、負ける。


5/30 京都に引き続き幕末維新ロード

期間限定新・メンバー(故人)の俺フェスで来たばかりの山口市再訪。
俺フェス↓
http://kyoko724.exblog.jp/24397501/

山口100% UNPLUGGED MUSICの会場は「菜香亭」大広間。
歴代総理大臣が贔屓にしたという料亭を保存、修復した明治期の建物だ。
ちなみに創業者は長州藩の膳部だった人物である。
「菜香亭」と名付けたのは井上馨。
大河にちなんだ幕末関連の展示もしてあって興味深く見る。
現在は周布政之助の特集。
周布は長州藩きっての実力者であり、
松陰が育てた純粋で向こう見ずな若者のパワーを藩の中心に結びつけた変人であり、
酒乱でもある。
大好き周布。親しみを覚える。

前回の下見時に菜香亭の管理をしているNPO団体の方々と打ち合わせして
砂田君の衣裳は志士姿ということになった。
靴が履けないからね。
(靴がないとなんか普通の衣裳がしまらない。)

着付けを済ませた砂田君は関係者女性陣に大変人気で
開場までの間しばし撮影会。
「もっとこう…幕末志士の憂国の感じを。」
「そうそう、目線外してください。」
「じゃ、こちらの額縁の前で。」
「次はギター持って座りましょう。あ、いいですねいいですね。」
今日が人生最大のモテ期じゃないだろうか。

52畳の畳敷きは音がデッド。
響けばいいというものでもない。
むしろ今日くらいの人数だとやりやすい。
お客さんの席は座布団。
私も座って歌う時は座布団。
大好きな木戸ちゃん(木戸孝允)の書を眺めながら
「彼は私の永遠のヒーロー。」と歌う幸せ。


終演後、関係者各位と打ち上げ。
明治天皇替え玉説について盛り上がったり。
「そういえば今日の志士姿に刀があったらもっとよかったのにね。」と言ったところ
菜香亭の建物内では帯刀禁止だそうである。
どんな大人も刀を持たせるとやたらと振り回したくなるもので
貴重な建具を壊す可能性があるからだそうだ。
振り回したヤツがいるんだな…。
大人って思ったほど大人じゃない。

きんせ旅館から続く幕末明治ロードは山口を通過。


5/31 金の枇杷とソルティードッグ

雨の予報は外れて爽やかな朝。
ホテルのフロントに
中也記念館館長さんから差し入れが届いていた。
立派な枇杷。
なんて粋なんだろう。
果物界において、枇杷と無花果の価値、あるよね。


時間調整のため下関まで一般道。
唐戸市場で昼ごはん。
海峡から九州門司の街が見える。

博多。
会場であるモカジャバカフェパークサイドに到着。
珍しく下見ができなかった店なのでレイアウトを考えるのに時間がかかる。
慌しく準備。

博多という街は常に飛行機の音とともにある。
空港が便利な場所にあるからね。
便利に使っているのだから文句は言うまい。
トークの合間に飛んだらにこにこしながら黙り通り過ぎるのを待つ。
これも生音ならではの瞬間だ。

終演後は完全生音ライブをやるきっかけになった街、西新に移動。
西新はだんだん我々の九州のホームになりつつある。
サロンのような一軒家のバーで打ち上げ。
ここのカクテルがすごかった。
個性的。
最も驚いたのが
これ、アミノ酸入ってませんか?と言いたいほど
ヴィシソワーズのような味噌汁のようなソルティードッグ。
あ、いい玉露の旨みにも似ているわ。
グラスの縁に塩を盛るのでなく、カクテル自体に塩気を持たせている。
飲み疲れた日のシメに飲むカクテルとしてレシピを考案したそうだ。
カクテルって実は料理なんだね。
飲み疲れたなら飲むなよ!というツッコミは無視します。

しかし博多はいいね。
楽しそうな大人が多い。
街のサイズが理由かもしれない。
今すぐ引っ越したい。

続く…

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さて、微熱の窓辺は今月最終日、31日更新予定の第5回で一度閉じます。
またなんかのタイミングで少し開くかもしれません。

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by santarablog1 | 2015-08-28 15:37 | 微熱の窓辺 | Comments(1)
Commented by Nori at 2015-09-09 12:46 x
この窓辺は、まだまだ記憶に新しいです。
というか
あー、きんせ旅館、行きたかったなぁ!
ギタレレと広島弁の歌、ききたかったなー
菜香亭、いいな、いいな、いいなぁ~
などどいう気持ちが蘇ってしまいました ^^;

そうそう、枇杷!
おいしそうだった…


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